夢の中へ・・・

 
下津井 COAST LINE


下津井電鉄は瀬戸内のナローで親しまれた小さな路線でした。しかしその現役時代に
はとうとう訪問する機会を逸し、夢の中だけの鉄道となっていました。
2001年6月のある日、仕事で訪れた倉敷で乗ったタクシーに書かれていた会社名が
「下津井電鉄」。何気なく乗務員さんに、「下津井電鉄って昔茶屋町から出てましたよ
ね」と話しかけると、「そう、子供の頃にはよく乗ってましたよ」。そして続いて出た一言
が、「今でも電車が下津井に置いてありますよ」。 え〜っ!たちまち鼻息が荒くなった
のを見透かされたのか、「仕事が終わった頃迎えに来ましょうか?」「ハイ、もちろんデ
ス」。 そして連れて行かれた先で見たものは・・・


まさに白昼夢。奥の車庫には電車がそのまま置いてあり、構内は草生してはいるものの、
架線柱を外しただけという感じで、駅舎も残っていました。そして線路跡は遊歩道として児島
へ向けて伸びていました。


旧下津井駅構内はぐるりとフェンスで囲われており、中に入ることはできません。しかし、な
んとなく当時の面影を見てとることはできました。出札口と思われる横には、当時の時刻表
がそのまま残っていました。
このようなことになるとは思ってもいなかったので、この日持っていたのは標準レンズ1本。
必死で金網の目の間から写真を撮りました。


帰りの時間も迫ってきて、後ろ髪引かれながら下津井を後にしました。タクシーの車窓から
眺めていると、所々に架線柱が残った廃線跡が見かけられ、再びこの地を訪れてみたいと
の気持ちがこみあげてきました。
そして4ヶ月後、再び下津井を訪れる機会がやってきました。
今度はしっかりと望遠ズームを持参しました。車庫の中には何台かの車両が置かれている
ようです。


石積みはホームの跡なのでしょうか。上の丸いマークには「ナローゲージ」、そしてス
キャンした写真ではちょっと見づらいのですが、マーク下の帯には「SHIMOTSUI・CO
AST・LINE」と記されています。


旧線路跡は遊歩道として利用されています。タクシーの乗務員さんの話によると、この辺り
に東下津井駅があったそうです。


児島の町の中、阿津駅跡にはホームがそのまま残り、架線柱も残っていました。
このほか、児島の町では廃線跡が所々見かけられ、当時の面影をしのぶことができました。

あれから3年余りがたちましたが、下津井電鉄の跡はどのようになってしまっているのでしょ
うか。できればあのまま変わっていてほしくないと願うとともに、またもう一度この地を訪れた
いと思う今日この頃です。


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